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ダークソウル世界におけるエントは誰か
【ちょっと束人専門用語出し過ぎた】
樹人(元ネタはエント?)がいるから黒い森の庭の元ネタはファンゴルンの森かと思ったけど、ロスローリエンっぽいウーラシールと繋がるなら闇の森? 闇の森の一部地域にはエルフが住んでいるし。もしくはファンゴルンと闇の森がその一部だった大森林ドルソニオンが元ネタ? 分からない。
補足
エントは木の姿をした巨人。優れた知性を持つ木の牧人。ファンゴルンの森とは、人間が力を増した時代においてもなおエントが住んでいた古い森のことだ。エントっぽいキャラクター・樹人がいる森だから、黒い森はファンゴルンの森と関係があるかも?と最初は考えた。
しかし束人としてそれは頷き難い。 ファンゴルンの森とエルフの国とは余り繋がりが無いからだ。ウーラシールにはエルフの影がちらつく。そんなウーラシールと関係ありげな黒い森の庭にもやはりエルフの影響を求めたいのだ、束人としては。そこで筆者は、ならば闇の森は?と考えた。闇の森とは一部地域にエルフが住むとても古い森で、英語表記はMirkwood。Mirkwoodは古い言葉であり、ドイツのシュヴァルツヴァルト(黒い森)との関連も指摘される。
しかしこれもまた頷きにくい。闇の森にエントがいないからだ。 エルフとエントの両方に関係のある森は?と脳内と中つ国wikiを検索して、筆者はドルソニオンに行き当たった。大森林ドルソニオンは広い森で、遥か昔エントはその森を歩き回っていたという(エルフは近寄らなかったけれども)。時代が下ってドルソニオンの範囲が狭まり、その過程で取り残された森というのが中つ国にはいくつかある。エントの住むファンゴルンの森と、エルフが住まう闇の森はその取り残された森なのだ。
厳密に言えばドルソニオンにエルフは住んでいないが、エルフとエントに関係のある黒い森、という条件に合うのはドルソニオンだ。 だから管理人は黒い森の庭の由来がドルソニオンにあるのではと疑っている。
補足が長い。
【などと考えていたのだが】
黒い森を実際にプレイし樹人を何度か殴り倒した結果、樹人はダクソ界のエントではないと考えるに至った。理由は単純。エントにしては樹人は小さすぎ、弱すぎるからだ。エントは強い。とても強いものなのだ。
二人が見たのはまこと世にも珍しい顔でした。その顔の持ち主は、トロルといってもいいような、大きな人間のような姿をした者でした。背の高さは少なくとも十四フィートはありましょう。頭部は長頭で、頸はないも同然の猪首で、非常にたくましい体つきでした。体にまとうものは、緑がかった黒ずんだ木の皮の類か、この者の地肌なのか、どっちとも判じかねました。
エントの姿 _ J. R. R.トールキン 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
その時、突然「ラー フーム ラー!」とあたりを大きくとよもして響きわたる雄叫びが起こりました。木々はふるえ、まるで強風に襲われたようにたわみました。それからふたたびしーんと静まったかと思うと、やがて荘重なドラムの響きのような進軍のための音楽が鳴り出しました。どーんどーんと轟くその音をも圧して高らかに力強く歌う合唱の声が湧き起こりました。
エントの声 _ J. R. R.トールキン 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
「あなた方は本当にアイゼンガルドの扉をぶち破るのですか?」と、メリーがたずねました。
エントの力 _ J. R. R.トールキン 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
「ふう、ふむ、まあな、できるだろうよ。お前さん方は多分、わしらがどんなに強いかご存知なかろう。トロルのことを聞いたことがおありじゃろうな? やつらは恐ろしく強い。だがトロルというのは本来偽物でな、大暗黒に敵が作ったエントのまがいものにすぎん。オークがエルフのまがいであるのと同じことよ。わしらはトロルより強い。わしらは大地の骨でできておる。わしらは岩であろうと木の根のするように引き裂くことができる。ただもっと速い。ずっと速いぞ、わしらの心さえ奮起すれば! もしわしらが切り倒されなければ、あるいは妖術の火で打ち滅ぼされたり吹き飛ばされることがなければ、わしらはアイゼンガルドをずたずたに引き裂き、その壁を砕いて砂利石に変えることもできるのよ。」
「サルマンが全軍勢を送りだすや、いよいよわれらの番が到来した。木の鬚はぼくたちを下に降ろすと、門に近づき、扉を叩き始めた。そしてサルマンに出て来るように呼ばわった。応答はなかった。城壁から矢や石が飛んでくるほかはね。だけどエントには矢は全然役立たずなんだよ。むろん矢はエントに傷を与えるし、ひどく怒らせはする。ちょうど羽蟲が刺すみたいにね。だけど、たとえ針山みたいに全身にオークの矢を受けようとも、エントはそれで別にひどい傷を受けるということはないんだね。一つには、かれらには毒が利かない。そしてかれらの皮膚ときたらとっても厚くて、樹の皮よりも強靭そうだもの。かれらをほんとにひどく傷つけるものがあるとすれば、それは非常に強い斧の一撃だね。かれらは斧が好きじゃない。しかし一人のエントに対するにはとても大勢の斧使いがいるだろうね。一度エントに切りつけたやつはもう二度と斧を揮う機会は得られないからね。エントのこぶしでがーんとやられたら鉄の塊りだって薄くのされてしまうから。
エントの強さ _ J. R. R.トールキン 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
「矢を数本体に受けると、木の鬚はようやく気が立ってきた、かれの言い種に従えば、断然『せっかち』になってきた。かれは『ホーン、ホム』と大きな音を発した。するとあと十二、三人のエントたちがのっしのっしとやって来た。怒ったエントというのはこわいもんだよ。かれらの手の指、足の指、それが岩をただしっかと摑むね。するともう岩はパン屑みたいにぽろぽろにちぎられちゃうんだ。それはまるで大樹の根が百年の間になしとげる仕事を目に見てるようだった。ただそれがほんの短い時間に圧縮されて見せられたんだ。
「かれらは押したり引っ張ったり引きちぎったりゆすったり叩いたりした。ガチャーン、ドスーン、ガラガラ、メリメリってね、五分たったらさしもの巨大な城門も崩れ落ちてしまった。エントの中には早くも城壁の中にどんどん喰いこみ始めたのもいる。まるで兎が砂の中に穴を掘るようにね。
「これはみんなをかんかんに怒らせてしまった。ぼくはそれまでかれらはもうこれで本当に怒ってるんだろうと思ってた。だが、ぼくの考え違いだった。かれらが本当に怒るとはどういうことなのか、やっとぼくにもわかった。それは肝をつぶすようなことだ。かれらは怒号し轟く音を発し、ラッパを吹き、とうとうしまいにはその音だけで岩がひび割れ、転がり落ちるのだった。メリーとぼくは地面に倒れ伏して、マントで耳に栓をした。エントたちは吹きすさぶ強風のようにオルサンクの岩壁の周りをぐるぐる歩きながら荒れ回り、立ち並ぶ柱を折り、立坑にはなだれのように石を投げ落とし、大きな平石を木の葉のように空中にほうり上げた。塔はぐるぐる旋回するつむじ風の真っ只中にあった。ぼくは鉄の柱が、石造の建造物の大きなかけらが何百フィートの高さにほうり上げられ、オルサンクの窓にぶつかるのを見た。
エントの怒り _ J. R. R.トールキン 新版 指輪物語〈3〉/二つの塔〈上〉
このように。黒い森の庭にいる樹人はこの強さに全く及ばない。だから管理人は樹人はダクソ界のエント枠ではないと考えている。
【では誰がエントなのか】
個人的には巨人がダークソウル世界におけるエント役であると思う。巨人は大きく、強く、そして樹と関連が深い。灰の時代の巨大樹が巨人の元の姿であるという意見もあるし。
【エントに毒は利かないはず】
アノール・ロンド入口付近の巨人は猛毒は受ける事を確認。ならばここにいる巨人6体はエントとは違う存在? それとも毒と猛毒は違うんだろうか? どうなんだろう。
中つ国の魔法とダークソウル世界の魔法
【奥方は断じて魔女ではない】
「古い」「黄金の」「魔術の」国ウーラシール。ウーラシールは古い国であり、黄金の国であり、魔術の国であったのかもしれない。そして指輪物語には、古く、黄金の森と呼ばれ、魔女と誤解されたエルフの奥方が住まうエルフの国ロスローリエンが登場する。 ウーラシールはロスリック王国と関係があるのだろうか?
補足
ロスリックとロスローリエンの関係については拙作「ロスリックとロスローリエン」をご参照ください。
【仕掛け的な魔法と、ただ美しいものを追い求めた先の魔法】
トールキンは冥王達が用いる詐術とエルフの魔法を厳密に区別している。思うに、ヴィンハイムの魔術は冥王の詐術系統なのじゃないかな。「他者を拒絶する」性質がある。支配とは自我の拡大であり他者存在の否定だ。だから他者を拒むヴィンハイム魔術は冥王の操作技術に連なるのじゃないかと思う。
創造願望から堕落に至るには、さまざまな機会があります。創造願望は、所有欲となり、自分の造った物への執着心となるのです。準創造者は私的創造物の主人、そして神となることを望み、やがては万物の主たる創造主の法に反旗を翻すでしょう――とりわけ有限の命という法に。この二つのうちどちらも(単独で、あるいは一緒に)権力欲につながります。そうすれば、自分の意志が一層迅速に働くからです――こうして仕掛け(あるいは魔法)を使うことになるのです。この最後のものによって私が意味するのは、生来の内なる能力や才能を伸ばす代わりに、外なる計画や仕組み(装置)を動員すること、場合によっては、その生来の能力をさえ、支配のための腐敗した動機で用いること、この現実世界をブルドーザーにかけ、あるいは人々の意志を無理に曲げようとすることです。
シルマリルの物語 _ 一九五一年、ミルトン・ウォルドマン宛、J. R. R. トールキンの手紙
仕掛け(マシン)とは、われわれの時代にあってより顕著な現代の姿ですが、普通思われているよりは、より密接に魔法に関係しているのです。 私は、”魔法”という言葉を首尾一貫した意味では使ってきませんでした。確かに、エルフの奥方ガラドリエルは、ホビットたちの用語の混乱をたしなめなければなりませんでした。ホビットたちは、敵なるサウロンの仕掛け(マシン)や操作を、エルフのそれと同じ言葉を使って言い表したのです。私もそうでした。後者に当たる言葉がないからです。(人間の物語はすべて同じ混乱を蒙ってきたのです。)
シルマリルの物語 _ 一九五一年、ミルトン・ウォルドマン宛、J. R. R. トールキンの手紙
エルフたちの”魔法”は芸術です。人間の持つさまざまな制約から解放され、よりたやすく、より速やかに生み出された、より完全な (産物であり、疵一つない照応(コレスポンデンス)において見ることができるものなのです。) その目的は芸術であって、権力ではなく、準創造であって、支配することでも創造物の非道な作り替えでもないのです。
シルマリルの物語 _ 一九五一年、ミルトン・ウォルドマン宛、J. R. R. トールキンの手紙
その他
【神の介入によるヌーメノールの水没によって平らだった地球が丸くなった程度には大惨事】
ハイデの元ネタはヌーメノール(中つ国におけるアトランティス)だったり? ハイデは巨大遺跡あるし、海に沈んでるし、異端?の青教発祥の地だし。ヌーメノールは高度な文明を持っていたし、海に沈んだし、悪魔崇拝が行われてしまった場所だし。そんな束人の妄想。
【わざと僭称を奨めたとすれば悪意しか感じない】
翼ある兜。これ元ネタってゴンドールの白の木がある噴水の庭(=一種の聖域)前の城塞近衛兵の兜かな。アノールなんていうエルフ語を地名として採用した都の警備兵としてはなかなか相応しい。ゴンドールにはエルフの知恵が継承されてるからね。
城塞の門を守る護衛兵たちは黒い服に身を固め、その兜は山高で、顔にぴったりついた長い頰当てがあり、頰当ての上に海鳥の白い翼を配した、見慣れぬ形のものでした。
J. R. R. トールキン 指輪物語 王の帰還(上)_ 一 ミナス・ティリス
ただ翼ある兜の由来はゴンドール王の翼ある冠。「翼ある兜」の部下達をリーダーが引き連れるという事は自らを「翼ある冠」の持ち主、もしくはその正当な代理人と名乗るに等しい。馳夫さんかデネソール侯に連なる者でない限りその名乗りは僭称。この装い提案したの誰。暗にグウィンを僭王扱いするやつよコレ。
その時、衛士たちが前に進み出て、ファラミルは箱の蓋を開けました。そして古い王冠を取り上げました。それは城塞の近衛の衛士たちの兜に似た形をしていましたが、ただそれよりもっと高く、全体が白で、両側の翼は海鳥の翼に似せて、真珠と銀で作られていました。というのは、これが、大海を渡って来た王たちの紋章であったからです。
J. R. R. トールキン 指輪物語 王の帰還(下)_ 五 王と執政
これやっぱり古竜シバきフレンズか同じくらい古い存在の中に束人いるでしょ。グウィン本人が束人で「王近衛の装備はコレだろ」で決めたならシンプルなんだけど。その場合は「烏滸がましいわ」と腹パン決めればいいだけなので気楽。でも地球文化に直接アクセス出来た描写あるのシースなんだよなあ。
【超越的雰囲気あたりが似てるかも】
教授のエルフに関する見解を読んでいると、ダークソウル世界の不死属性を持った連中というのはエルフ的である気がしてくる。ダクソ人類がというよりは古竜がエルフっぽいのかもしれない。
エルフたちは“不死”です。少なくともこの世界が続く限りは。それ故、かれらの心にかかるのは、この無常迅速の世にあって、むしろ死なないことの重荷と苦痛であり、死ぬことではないのです。
シルマリルの物語 _ 一九五一年、ミルトン・ウォルドマン宛、J. R. R. トールキンの手紙
情報元
ファンゴルン – 中つ国Wiki
闇の森 – 中つ国Wiki
ドルソニオン – 中つ国Wiki
ヌーメノール – 中つ国Wiki
【ダクソ版トリビアの泉】※微グロ注意。明日から使える無駄知識!水没した小ロンド遺跡とはなんだったのか? – YouTube
アイキャッチ画像:Photo by D A V I D S O N L U N A on Unsplash(https://unsplash.com/photos/8zvGIv4pw1I)